役員報酬の金額を変更したいと思っている経営者も多いと思います。
その場合、どの時期に変更され支払われた役員の報酬なら税務上も費用となるのか疑問に思いませんか。
その疑問を解決していきましょう。
具体的なタイムスケジュールと図解も入れて解説していきます。
はじめに
役員報酬の金額の変更は、会計期間の途中では原則、変更できないこととなっています。
相当の理由がある場合には、減額のみ変更できますが、かなり厳しい条件が必要となります。
ただ、決算終了後の定時株主総会で役員報酬の金額を改定する場合は、会計期間の途中でも変更できることとなっています。
では具体的に、タイムテーブルを見ていきましょう。
参考記事:国税庁HP
No.5209 役員に対する給与(平成19年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度分)
参照記事:国税庁HP 相当の理由とは
変更した役員報酬はいつから支払えるのか
ようやく社長の努力の成果も実り、利益も上がってきましたので、役員報酬の金額も増やしていきましょう!
これからどんどん軌道に乗せていきたいね。
役員報酬の金額は、この利益からみるとこのくらいあげても大丈夫かな。
このように社長の給与の増額のお話が出来るのが、私としても嬉しい瞬間です。
このような感じで、前期の決算内容を見ながら決めていきます。
全て費用(損金)とするためにはいつ支払えばいいのか
支払われた役員報酬について、すべて費用とするためには税務上の要件があります。
税法上難しい言葉で要件が書かれていますが、要約すると、
①事業年度の初めの日より3カ月以内に改定すること
②事業年度の初めの日より改定する前までに支払われた役員の報酬の金額が同額であること
③改定した後に支払われる役員の報酬の金額が同額であること
上記の3つを満たすと、これまで支払った役員報酬も、これから支払う役員報酬も税務上費用として認められることになります。
図解で見ていきましょう。
株主総会後に変更する場合
株主総会で役員報酬について決める場合です。
大手企業などは株主総会で役員の報酬を決めて、翌月から改定しているところが多いです。
通常、中小企業では申告の延長を出していないところも多いので、期末から2カ月以内に株主総会を開きます。
そのことからも、上場企業とは違い、2カ月以内に変える方が無難でしょう。
例1)9月決算法人(会計期間10月~9月)
株主総会11/25日
11/30日支給分より増額
11月から支給される40万円は税務上も費用として認められます。
例2)9月決算法人(会計期間10月~9月)
株主総会11/25日
12/31日支給分より増額
12月から支給される40万円は、税務上も費用として認められます。
期首から変更する場合
毎年期首に役員報酬を改定(変更)する場合には、同じ金額を期首から期末まで支払っていれば税務上も費用として認められます。
例)9月決算法人(会計期間10月~9月)
10/30日支給分より増額
おわりに
役員給与は税務上でも論点の多い項目です。
それぞれの会社に合った内容で考えていく必要があります。
ここでは一般的な考え方を書きましたので、参考にしていただけると幸いです。