個人経営の飲食店|初心者でも簡単経理!画像付きで分かりやすく解説

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飲食店をようやく開業したものの、経理についてお悩みの経営者も多いと思います。

今回はそんな経営者のために、ご自身でも経理が出来るように、具体的に例を挙げながら解説していきます。

はじめに

飲食店は、比較的簡単に開業できますが、忙しくなると経理がおろそかになる業種でもあります。

飲食業界の激しい競争の中で生き残るためには、立地、味、品質、サービスなども重要です。

しかし日々の経理をおろそかにすると、手を打つ「時」を逃してしまいます。

そうならないためにも、経理について基本を押さえておきましょう。

飲食店の経理|経理をはじめるにあたり

経理といっても簿記も知らないし、会計士や税理士に頼まないといけないの?

と思われている方も多いと思います。

会計事務所などに頼むと多額の報酬が必要となるため躊躇されているのではないでしょうか。

税理士の立場もありますが、もちろん依頼した方が、経営の指標となる数値や税務の事も任せられるので安心です。

しかし、規模が小さいうちはご自身で経理をされることをお勧めします。

更に成長拡大したい、法人化したいなどと思われたときに、税理士にお願いしても遅くはありません。

初回無料で相談に乗ってくれる会計事務所も沢山あります。

最近は自由に契約、契約解除もできますが、一度お願いすると断りづらくなる方もいるかもしれません。

何年も契約をするとなると、相当な報酬金額となります。

お願いしようと思われている方は妥協せず、何件か回ってご自身にあった事務所を探しください。

ともあれ、小さい規模のうちはご自身でも十分に経理ができると思います。

このブログでそのお手伝いが出来れば光栄です。

飲食店の経理|経理に必要なもの

日々の経理はエクセルで出来ますが、確定申告をするにあたっては会計ソフトがあった方が便利でしょう。

年間でも1万円ほどあれば、会計ソフトは導入できます。
やよいの青色申告 18 通常版 <消費税法改正対応>

なぜ会計ソフトがあった方が便利かというと、確定申告で65万円の控除を受けるためです。

詳しくは下記をご覧ください。

個人事業主のための節税マニュアル

飲食店の経理|基礎知識として

経理をする上で、基礎知識として貸借対照表と損益計算書の構図は覚えておきましょう。

貸借対照表については簡単に見ていただけるよう飲食店に必要と思われる勘定科目に絞りました。

損益計算書は、図のように四畳半をイメージして頂くと、スムーズに理解出来るのでお勧めです。

何が理解してほしいかと言うと、粗利が大事ということです。

粗利で固定費を支払うことができなければ、利益が蓄積されていきません。

貸借対照表とは
経営をするために使う道具「資産」をどのように使用「運用」しているか。
またその資産をどのように準備「調達」したのかを載せた一覧表です。

損益計算書とは
道具を使ってどのように儲けたのか、また儲けるために必要なコストをまとめた一覧表です。

因みによく「経費削減!」と聞くと思いますが、どこを指しているかご存知ですか?

それは損益計算書の固定費(販管費)のところなのです。

飲食店の経理|日々使用する勘定科目は

B/S

  • 現金
    飲食店は現金商売なのでよく使う科目となります。現金の出入金があるときは現金勘定を使用します。
  • 預金
    事業用の通帳を作っている場合には、その出入金どおりに記帳します。
  • 売掛金
    掛で売りあげている業者などががいる場合には入金されたとき、またはクレジットカード決済が入金されたときに使用します。|
  • 買掛金
    食材費などよく使う食材に関しては、まとめて卸売りの業者に依頼することがほとんどです。月末などに届く請求書の金額が買掛金となります。
  • 長期借入金
    金融機関より運転資金や創業融資を受けた場合は長期借入金を使用します。複数の融資がある場合、その融資ごとに補助科目を使用します。
  • 事業主貸
    「事業主にお金を貸した」という意味の勘定科目になります。預金利息などが代表例です。(事業用の通帳に入金されても個人のものとなり、受取利息勘定は使用しませんので、注意してください。)
  • 事業主借
    「事業主にお金を借りた」という意味の勘定科目になります。下記にも具体例を記載していますので、そちらでご覧ください。


P/L

  • 売上|飲食代金など受けとった時
  • 仕入|材料費
  • 福利厚生費|従業員への食事代など
  • 法定福利費|労働保険料、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料
  • 旅費交通費|電車代、タクシー代、従業員の通勤費
  • 通信費|電話代、ネット代、切手、はがき
  • 接待交際費|お客様の手土産代、お客様や取引先との飲食代、慶弔費
  • 会議費|取引先との打合せ費用(飲物代、軽食代)
  • 保険料|店舗の損害保険料 (個人の生命保険料は所得控除)
  • 修繕費|固定資産、備品の修理代
  • 水道光熱費|電気代、ガス代、水道代
  • 消耗品費|店内備品、事務用品
  • 租税公課|税金、印紙代
  • 運賃|郵便代、送料
  • 広告宣伝費|チラシ、WEB掲載料
  • 支払手数料|振込手数料、時間外手数料
  • 諸会費|セミナー参加料、講習代、町内会費
  • 新聞図書費|新聞代、雑誌代、参考書代、

費用ついての留意点はこちらより
個人事業主のための節税マニュアルの02|必要経費についてをご覧ください。

ざっと出てきそうな勘定科目をあげてみました。

簿記を知らない方でも下記例を見ていただき、入力をしていってみてください。

飲食店の経理|弥生会計の入力にあたり

下記、具体例の画像の下の仕訳画面は、弥生の入力例の画面(仕訳日記帳)となります。

弥生会計の中で、日々の入力で使用頻度が高い項目が下記のものになります。

ナビゲーションバーがなくても、ツールバーより入力画面へ飛ぶことはできます。

しかし、ナビゲーションバーがあると、入力画面へいくのがツールバーよりもワンアクション減るので、表示しておくと便利です。

弥生会計の設定方法はこちらより
【弥生】新規で入力をはじめる場合の初期設定|画像付で解説

仕訳について出てきた都度悩まれるかもしれませんが、日々の取引はほぼ同じですので、半年ほどたてば悩まず入力できるようになっています。

それでは具体例を見ていきましょう。

日々の取引入力|具体例

1.売上について

取引数が少ないうちは、個々の売上ごとに入力しても構いません。

取引数が多くなった場合は、日々の売上合計で入力すればOKです。

しかし、その根拠となる個々の売上については、レジからのデータやエクセルで管理が必要となります。

2.仕入れについて

3.仕入れ代金の支払いについて

もし振込手数料を差引いて振込んでいる場合でも、トータルの支払いは5,000円となりますので、
仕訳は 買掛金5,000/普通預金5,000 でOKです。

ピンとこなかった方は、こちらをご覧ください。
買掛金の支払仕訳|振込手数料を差引いて支払っている場合

4.経費の支払いについて

 

 

 

 

開業日以前に購入している場合
開業費という科目で処理します。
その後利益が出た時に、いつでも、金額も25,000円の範囲でいくらでも費用として計上ができます。

開業日以降に購入した場合
通常の消耗品でOKです。(10万円未満)
10万円以上のものについて詳細はこちらをご覧ください。
少額減価償却資産とは|特例を活用して節税しよう!

5.給与の支払いについて

・労働保険に加入していない場合

振替伝票での入力です。(貸借が0にならないと登録できないので間違いにくくなります)

 

・労働保険に加入している場合

労働保険に加入している場合の料率についてはこちらより
雇用保険料率

 

飲食店の経理|社長自身が支払ったものについて

上記の仕訳例はほとんどが、現金勘定を使用して記帳した場合となりますが、実際には社長が立て替えることが多いと思います。

経費の相手勘定はすべて「事業主借」を使用します。

飲食店の経理|日々の売上はエクセルで管理

規模の小さいうちは、販売ソフトなどは購入せずエクセル管理で十分間に合うでしょう。

必要なエクセルとしては
・売上明細表
・交通費精算
・経費精算(社長立替用など)

テンプレート参照bizocean

飲食店の経理|固定資産について

飲食店を開業するにあたり、内装費や厨房設備については、会計や税務の上でもキーポイントとなってきます。

一度概要を理解してしまえば、その後は年に一度「減価償却」という同じ処理を繰り返すのみです。

何度も出てくるものではないので、ポイントだけしっかり押さえ申告しましょう。

固定資産についての考え方はこちらより参照ください。

飲食店の内装工事|減価償却3つのポイントを押さえ確定申告に挑もう!
少額減価償却資産とは|特例を活用して節税しよう!

最後に

いかがでしたか。日々の取引から記帳するのはそんなに難しい作業ではありません。

ただ、経理というと後回しになり、日々の仕事に追われなかなか手が回らない飲食店オーナーの方も沢山いらっしゃると思います。

日々のルーティンとして経理も仕事の一部に取り入れ、毎月のお店の資金の流れをしっかりと把握できるようにしていってください。

月次決算とは|経営者が知るべき3つの重要性を徹底解説!
販売戦略とは|赤字体質脱却のため3つの実践方法

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この記事を書いた人:税理士 大森順子

大森会計事務所 代表の大森です。 税金のこととなると途端に難しい言葉や税率が飛び交う世界。 ブログで税金の事を分かりやすく丁寧に説明しています。 「税理士をもっとより身近に!」感じてくださいね。

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