起業したら配偶者は役員?従業員?|メリットとデメリットを解説

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脱サラして起業!という方向けに記事を書きました。

退職金などを充てて起業するとなると、軌道に乗るまではどうなるか分からない状況かと思います。

そのような状況下で、会社や個人にとって、配偶者がどのような形態をとるのが一番いい方法かを解説していきます。

はじめに

起業したら配偶者を「役員」とするのか「従業員」とするのか悩まれると思います。

もしかしたら悩まれない経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

どうしてその結論に至ったのですか?

ぜひその結論があっているのか、記事を読んで答え合わせをしてみて下さい。

ここでは、脱サラなどをして起業される方向けに解説をしています。

配偶者に対する給与の支給形態

次のいずれかになると思います。

①役員(非常勤)として報酬を支払う
②従業員として給与を支払う
③何も支払わない

結論からいうと「従業員」

事業が軌道に乗るまでは、どうなるか分からない状況下で起業した場合は

従業員」として給与を支給するのがベストです。

従業員がベストな理由

利益が出ている会社では、配偶者は従業員よりも役員の方がメリットがあります。

しかしここではあくまでも、開業後売上があまり出ないことを前提にしています。

節税額よりはトータルの節約でお話していきます。

①社会保険の加入義務がない

社長などの経営者が社会保険に加入した場合、配偶者が下記の条件を満たせば社会保険の加入義務はありません。
社長の扶養者として、負担なしで社会保険に入れます。

・配偶者の給与年収年130万円未満
・社長などの経営者の年間収入の1/2未満

②配偶者の住民税について

東京都の場合、年間収入が100万円以下なら住民税も非課税となります。

③所得分散により手取りが増える

社長一人で高い報酬を貰うより、配偶者と分けてもらった方が税率が抑えられます。

また、給与所得控除も2人分受けられるのでトータルの税金が抑えられます。

給与などの収入額 給与所得控除額
162万5,000円以下 65万円
162万5,000円超〜180万円以下 収入金額 × 40%
180万円超〜360万円以下 収入金額 × 30% + 18万円
360万円超〜660万円以下 収入金額 × 20% + 54万円
660万円超〜1,000万円以下 収入金額 × 10% + 120万円
1,000万円超 220万円

所得税は、課税所得額により5~45%の課税率となる超過累進課税方式が採られています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

設例|社長一人で報酬をもらう場合 夫35歳 妻(専業主婦)30歳

  役員報酬(年間) 所得税 社会保険料 差引手取り
600万 362,900 846,000 4,791,100

設例|社長と配偶者で分散して報酬と給料をもらう場合 夫35歳 妻30歳(扶養の範囲)

  役員報酬(年間) 所得税 社会保険料 差引手取り
500万 298,100 693,720 4,008,180
100万 0 0 1,000,000
600万 298,100 693,720 5,008,180

社長と配偶者に分散して報酬や給与を支払うことで、年間217,080円の手取り増となりました。

④年の途中でも給与の支給額を変更したり賞与を支給したりできる

配偶者を従業員として雇っていると、年の途中で給与の金額変更したり、賞与を支給することができます。

なぜこれがいいのかというと、後述していますが、「役員」となると年の途中で役員報酬の金額を変更することができないからです。

とは言っても、いくらでも給与や賞与を支給できるわけではなく、親族に支払う給与については法人税法上で適正額が決められています。

最初のうちはそこまできにしなくていいですが、適正額は下記が基準となっています。

1.同じ会社で同じような立場にいるほかの従業員と比べてと高すぎないか。

2.同じような立場の従業員がいなければ、 同業他社で同じくらいの事業規模の会社の使用人と比べるて高すぎないか

デメリット

①役員報酬は1年間固定

役員報酬として支払うと、原則一年間決めた金額を変更することはできません。

年の途中で予想より利益が出た場合は、役員報酬の金額を変更することができないので、そのまま出た利益に税金がかかることになります。

反対に、予想より利益が出なかった場合も、役員報酬の金額は変更できません。

赤字の申告となり借入などが必要な業種だと悪い影響を与えかねません。

役員報酬の決め方|経営者なら知っておくべき基礎知識

②小規模企業共済に加入できない

加入の要件は、法人の役員若しくは個人事業主であることなので従業員の立場ですと加入できません。

おわりに

配偶者を役員にするか従業員にするか悩むと思います。

メリットデメリットを理解したうえで、会社の財政状態と照らし合わせ一番いい方法を見つけてください。

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この記事を書いた人:税理士 大森順子

大森会計事務所 代表の大森です。 税金のこととなると途端に難しい言葉や税率が飛び交う世界。 ブログで税金の事を分かりやすく丁寧に説明しています。 「税理士をもっとより身近に!」感じてくださいね。

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コメント

  1. より:

    文字も大きくわかりやすい記事でした。
    事務所はどこにありますか?

    1. 税理士 大森順子 より:

      コメントありがとうございます!
      返信だいぶ遅くなりすみません。
      事務所は八王子にあります。
      良ければホームページ見てくださいね。
      https://omori-tax.com/

  2. 鈴木 より:

    合同会社の場合も、妻は「従業員」として加入が可能でしょうか?
    「みなし役員」とされるため、従業員として加入ができないと聞いたことがあるのですが。
    教えていただけると幸いです。
    よろしくお願い致します。

    1. 税理士 大森順子 より:

      コメントありがとうございます。

      小規模企業共済の加入は、そうですね、私もそのように聞いています。

      コメント、ブログの励みになります。
      今後もよろしくお願いします。

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