車買うなら中古車か|節税対策として購入する場合のポイントを解説

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決算対策として、利益が出そうな事業年度末に
「中古の車を購入してはいかがですか」
と提案された経営者の方もいらっしゃると思います。

実際に車を購入する際は、現在の車がどのような目的でどのように使用されているのかを踏まえた上で、購入してくださいね。

使用目的によっては、中古車の購入後、修理代がかさんでしまうことがあります。
そうすると、新車の方がトータルの経費が安く済んだ、ということにもなりかねません。

使用目的も頭においていただいた上で、
今回は、なぜ中古車が節税となるのか、中古自動車の減価償却の考え方から、中古自動車を使った節税方法まで記載していきます。

中古資産の減価償却の考え方|なぜ節税と言われるのか

結論からいうと「耐用年数」の違いにより、中古車の購入は節税対策として使われています。

中古車と新車、どちらが耐用年数が短いと思いますか。

因みに「耐用年数」とは、取得した後どれくらい使用可能な期間があるのか、を表したものです。

さあ、答えはおわかりですね。

そう、中古車の方が新車よりも耐用年数が短いのです。

固定資産(車)を中古で購入する場合、新品で購入する場合に比べて「耐用年数」が短くなります。
耐用年数が短くなるということは、それだけ早く経費にすることができるということになります。
そのため、中古資産(中古車)は節税になると言われているのです。

主に30万円以上の減価償却資産を購入した場合について考えていきましょう。
30万円未満の減価償却資産についてはこちら
少額減価償却資産とは|特例を活用して節税しよう!

では、次になぜ中古車の耐用年数を見ていきましょう。

中古車|耐用年数の計算式

それでは、実際に中古車の耐用年数はどうやって計算するのか見ていきましょう。

中古資産を購入した場合
①見積法
②簡便法(見積もりが困難な場合)
という方法で耐用年数を計算していきます。

中古車の場合、実務上はほとんど②の簡便法で耐用年数を計算します。

因みに①の見積法は、中古車ではほとんど使われていませんが、中古の建物などで使われる場合があります。
知りたい方のために、簡単に見積法について記載しておきます。
見積法は、中古資産の使用状況や傷み具合等を基に耐用年数を算出したり、
技術者等の鑑定を基に見積もるなど合理的な方法で耐用年数を計算する方法となります。

ここでは、中古車の耐用年数を計算する際に、実務で使われている②の簡便法について記載していきます。

中古車の耐用年数は、新車登録時からどのくらい経過しているかをもとに下記の式で計算していきます。
それぞれのサイトで計算式が違うように見えますが、結論は一緒です。
下記の式をあてはめて計算してみてください。
因みにこの式の利点は、電卓の操作が一度で済むこと、国税庁が公表している式より覚えやすいことです。

  • 法定耐用年数のすべての期間が経過している場合
    法定耐用年数×0.2
  • 法定耐用年数の一部の期間が経過している場合
    法定耐用年数-(経過年数×0.8)

※1年未満の端数は切捨て、計算結果が2年以内の場合には2年が耐用年数

※年数に端数がある場合には、経過年数を月数に換算し、計算された月数を12で割り年数になおします。

ここでいう法定耐用年数とは、新車で購入した場合の耐用年数の事を指します。

  • 軽自動車 4年
  • それ以外の普通自動車 6年


注意点としては、中古車を購入する際には、資本的支出(車のグレードアップのようなもの)となるものを抑える必要があります。

具体的には、中古車を購入し改良などした場合、その改良などの資本的支出の金額が、中古車の取得価格の50%以下でないと、上記の「簡便法」は使用できないこととなっています。
下記図を参照してください。

簡便法が使用できない中古車を購入した場合は、新車と同様の法定耐用年数を使用して減価償却費を計上することとなります。

簡便法が使用できない具体例
①中古車の購入価格と資本的支出の金額


②どの耐用年数を使うのか判定

No.5404 中古資産の耐用年数

[平成29年4月1日現在法令等] 抜粋

 使用可能期間の見積りが困難であるときは、簡便法により算定した年数によることができます。
 ただし、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%に相当する金額を超える場合には、簡便法により使用可能期間を算出することはできません。

引用:国税庁HPより

因みに、新古車は中古車の扱いとなるため、簡便法で計算した耐用年数が使用できます。
上記の50%基準はあくまでも資本的支出の場合ですので混同されないようにしてください。

中古車の耐用年数表

簡便法で計算した場合の計算式の結果を一覧にしてみました。

新車登録時よりの
経過年数
1年 2年 3年 4年 5年 6年
軽自動車 3年 2年 2年 2年 2年 2年
普通自動車 5年 4年 3年 2年 2年 2年

上記の表をみてどう思われましたか。
新車登録時よりの経過年数で計算していくと、ある一定のところで耐用年数が変わらなくなっていますね。

このことから節税効果が高い中古車は下記のものとなります。

  • 軽自動車  
    2年落ちの中古車(月数だと16カ月経過しているもの)
  • 普通自動車 
    4年落ちの中古車(月数だと46カ月経過しているもの)

新車と中古車|減価償却費の具体例

次に、法人が社用車として新車を購入した場合と、4年落ちの中古車を購入した場合をそれぞれ比較してみていきましょう。

いずれも、節税効果の一番高い期首に購入したものとして計算します。

個人の場合には、償却方法を選定する届出をしていない場合には定額法となります。

①普通自動車を新車で購入した場合 

  • 購入価格:500万円
  • 耐用年数:法定耐用年数6年
  • 償却方法:定率法
  • 償却率:0.333

1年目:500万×0.333=166.5万
2年目:(500万-166.5万)×0.333≒111万
     ・
     ・

新車購入初年度から6年間で費用化

②普通自動車を中古で購入した場合

  • 購入価格:200万円
  • 経過年数:4年落ち
  • 耐用年数:法定耐用6年-(経過年数4×0.8)=2.8年→端数切捨て∴2年
  • 償却方法:定率法
  • 償却率:1.000

1年目:200万×1.000=200万

中古車購入初年度で、購入金額の全額を費用化

定率法の償却率

具体例を見てお分かりのように、
新車で購入する場合は6年間で減価償却費として費用化しますが、
中古車で購入する場合は購入年度で払った全額を費用とすることができるのです。

中古車購入|節税するうえでの注意点

減価償却資産なので、その計算は月割計算となります。

最大限に節税効果を発揮させるためには、期首で購入するのが良いでしょう。

さいごに

いかがでしたか。

利益が出ているから、そろそろ車を買い替えようなど思われている経営者の方、
新車でも買おうかと悩まれているかもしれませんが、一度中古車も検討してみる価値はあります。

そして、冒頭でも書きましたが、節税対策で車を購入する際には、やみくもに中古車を購入すれば大丈夫と考えないでくださいね。

使用目的をもう一度思い浮かべてみてください。

ここまで中古車の節税効果を書きましたが、使用目的によっては、新車の方がトータルで安く済む場合もあるのです。

その点を理解した上で、中古車の購入が経営者の皆様にとってよりよい節税対策となれば嬉しいです。

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この記事を書いた人:税理士 大森順子

大森会計事務所 代表の大森です。 税金のこととなると途端に難しい言葉や税率が飛び交う世界。 ブログで税金の事を分かりやすく丁寧に説明しています。 「税理士をもっとより身近に!」感じてくださいね。

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