事業を始めると、個人で使用している車を事業で使用する場合があると思います。
その時の費用について詳しく説明していきます。
目次
はじめに
自分で所有している車を事業に使用するケースは多々あると思います。
事業で使用した時のガソリン代などは経費になるのは既にご存知だと思います。
その際車の本体の価格も、一部費用として計上できる金額があるのは知っていましたか?
因みに、専門用語では車などの減価償却資産を私用から業務で使用することを「転用」と言います。
車を事業で使用|経費となるものは?
・ガソリン代
・メンテナンス費用
・自動車税
・保険
・自動車に関連する部品、備品代
・車の本体の減価償却費
次からはどうやって車両本体の価格を計算し、減価償却費として経費とできるのが見ていきましょう。
注意点|車両本体の金額を計算するにあたり
図で見ると下記のようなイメージとなります。
業務用で使用する金額を法定の償却率をかけて、減価償却費という費用として計上していきます。
概要はお分かりいただけたと思います。
この計算をするにあたり、費用かが出来ないケースがありますが、どのような場合かお分かりになりましたか?
それは、早い段階で経費として計上しておかないと経費として計上できなるということです。
新車を購入した場合で話を進めていきますが、目安として下記年数以内に申告書に計上し費用化をする必要があります。
・軽自動車 6年7カ月
・普通自動車 9年11カ月
なぜ上記の年数かというと、業務以外で使用していた期間については、法定耐用年数に1.5をかけて計算するからです。
例えば普通自動車を新車で購入し、10年後に業務用で使用することになった場合には費用とする金額が残っていないことになるのです。
法定耐用年数は下記の通りです。
・軽自動車 4年
・普通自動車 6年
車両本体の未償却残高|計算方法
事業に転用する時のまだ償却されていない金額を求めます。
赤の部分を計算します。
どのように未償却部分を求めるのか算式を見てみましょう。
算式
①法定耐用年数×1.5(1年未満の端数切捨て)
②旧定額法経過年数を計算する
(取得価額 ― (取得価額 × 0.9)) × ①で算出した耐用年数に係る償却率 × 経過期間
※経過期間
1年未満の端数が生じた場合、6か月以上は1年、6か月未満の端数は切り捨て
具体例|新車で購入した車を事業に転用した場合(個人事業主編)
①新車を購入(普通自動車)
②事業を始める(①で購入した車を事業で使用することにした)
車を事業に使用するとは、事務所や店舗までの移動や配達、現場視察などいろいろな用途が考えられますね。
③業務用以外の時(私用)の減価償却累計額を計算
3,000,000円×0.9×0.112×3年=907,200
④業務用に使用する時の車の未償却残高
3,000,000-907,200=2,092,800円
⑤業務用の減価償却の計算方法
減価償却費:3,000,000円×0.167×※12/12=501,000円
未償却残高:2,092,800-501,000=1,591,800円
※年の途中で事業に使用場合には使用した月から12月末までの月数
<参考>
法定耐用年数
・軽自動車 4年(償却率:定額法0.250)×1.5=6年
・普通自動車 6年(償却率:定額法0.167)×1.5=9年
法定耐用年数×1.5
・軽自動車 6年 (償却率:定額法0.167)
・普通自動車 9年(償却率:定額法0.112)
参照:国税庁HP 非業務用資産を業務の用に供した場合
国税庁HP 耐用年数(車両・運搬具/工具)
国税庁HP 減価償却資産の償却率表
業務用とした後の減価償却
留意点
業務で使用した期間の減価償却の方法は、その資産の取得した年月日をもとに計算します。
非業務用(私用)から業務用に転用した日ではないので注意してください。
特にH19年以前の資産には注意が必要ですが、車に関しては気にする必要はありません。
おわりに
いかがでしたか。意外と知らないで費用としていない方もいるのではないでしょうか。
減価償却費の費用はインパクトのある費用です。
利益が出ている時は利益を少なくしてくれ、支払う税金が少なくなります。
また赤字の場合にも3年間繰り越しが出来ますので、その後利益が出た場合にも支払う税金がその分少なくなります。
知らないで税金を支払っていたとすると、税理士費用を払ってもおつりがくるかもしれません。
この記事がお役にたてれば光栄です。