新しく事業を始めるとき、どこを会社として登記しますか。
法人を設立するにあたり、登記する場所はわざわざ店舗住所や貸事務所を借りて登記する必要はありません。
今回は自宅を登記した場合の取扱いを説明していきます。
目次
はじめに
事業が軌道に乗るまでは自宅を本店所在地として法人登記するケースがよくあると思います。
そのような場合には、自宅を会社事務所として使用します。
そして法人から代表者の自宅へ家賃を払います。
もちろん、無償でも構いませんがせっかくなら家賃を支払った方が節税にもつながるのです。
自宅が賃貸住宅の場合
一般的な方法|家賃算出方法
合理的な金額を算出する方法として、面積按分が挙げられます。
例)家賃8万円 2LDK 60㎡の間取りのうち1部屋(6畳≒18㎡を使用)
80,000円×18/60=24,000円
日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
4/30~3/31 | 地代家賃 | 24,000 | 役員借入金 | 24,000 | 事務所使用料 |
毎月決まった日に仕訳をきります。
この例ですと年間288,000円、法人側で経費となります。
受取る側は、家賃収入となります。※家賃収入については次で詳しく説明します。
貸方の科目は実際に払っていれば「現金預金」、払っていなければ未払金や役員借入金で処理をします。
実際に支払っていない場合、支払うタイミングは次のようなときになります。
利益がコンスタントに出るようになりキャッシュフローが良くなってきたときです。
給料で支払うと源泉所得税や社会保険料も増える可能性があります。
家賃を支払う形式にすると、会社も節税ができ、個人の受け取る側も一定の額までは源泉税など余分な税金を払わなくて済みます。
家賃を貰う側の注意点|賃貸家賃収入編
上記で一定の額と書きましたが、それはずばり年間で20万円までなら他に税金がかかりません。
本来、会社から給与を貰うだけでしたら、会社で年末調整が済むので申告の必要はありません。
しかし家賃収入は、「不動産所得」とよばれる所得になるので、給与も含めて所得税の確定申告をしなくてはなりません。
しかし給料で年末調整が済んでいて、他の所得が年間20万円以下でしたら申告の必要はないのです。
このことからも、年間の家賃収入を20万円以下に押さえて法人から個人へ支払う手もあります。
20万÷12ヵ月=16,666円
このことからも、確定申告をしたくないのであれば月16,000円位に設定してもいいのではないでしょうか。
自宅が持ち家の場合
一般的な方法|家賃算出方法
例)周辺の家賃相場8万円 2LDK 60㎡の間取りのうち1部屋(6畳≒18㎡を使用)
80,000円×18/60=24,000円
日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
4/30~3/31 | 地代家賃 | 24,000 | 役員借入金 | 24,000 | 事務所使用料 |
上記で説明した内容と同じですが、毎月決まった日に仕訳をきります。
この例ですと年間288,000円、法人側で経費となります。
受取る側は、家賃収入となります。※家賃収入については次で詳しく説明します。
貸方の科目は実際に払っていれば「現金預金」、払っていなければ未払金や役員借入金で処理をします。
実際に支払っていない場合、支払うタイミングは次のようなときになります。
利益がコンスタントに出るようになりキャッシュフローが良くなってきたときです。
給料で支払うと源泉所得税や社会保険料も増える可能性があります。
家賃を支払う形式にすると、会社も節税ができ、個人の受け取る側も源泉税など余分な税金を払わなくて済むので一石二鳥です。
家賃を貰う側の注意点|持ち家の家賃収入編
さてここが注意してほしい点となります。
住宅ローン控除を受けている場合には、法人が借りている部分については住宅ローン控除が受けられなくなります。
一般的に住宅ローン控除を受けている場合は、住宅ローン控除の方が有利なことが多いでしょう。
ですので、10年その制度を使い切ってから、法人が家賃を払ってもいいと思います。
しかし次の段階、売却するときの特例(売却益から3,000万を控除する)なども、法人が借りている部分については受けられなくなります。
そのことを念頭に置いた上で、シミュレーションし賢く節税してください。
自宅の水道光熱費や通信費なども会社の経費
共通して経費となるもの
賃貸住宅でも持ち家でも、下記のもので事業に使用しているものは法人の費用となります。
それぞれに実態と照らしあわせ事業使用割合をかけます。
だいたい合理的に説明できる額が算出できたら、全体をまとめて定額で支払ってもかまいません。
・水道光熱費
・通信費
・茶菓子
試算が必要な費用
・火災保険料
年末調整で控除の対象となるため、会社の経費にするか、個人の所得税で控除した方が得が試算が必要です。
持ち家の場合の費用
・固定資産税
・火災保険料
・管理費
・住宅ローンの利息
など
法人が個人へ家賃を支払う場合には、家賃同様に、使用面積の割合をかけて経費部分を計算します。
賃貸借契約書を作成
賃貸住宅でも持ち家住宅でも法人と個人の間で、不動産の賃貸契約書を作成する必要があります。
共益費として上記のような費用を定額で支払う旨を書いていても構わないでしょう。
おわりに
法人から個人の自宅へ家賃を支払う節税方法は、手軽に取り掛かれるものです。
利益がでていなくても計上しておけば、今後利益が出た時に少しでも足しになると思います。
これを機に、いままでされていなかった経営者の方は是非取り入れてみてください。