法人の節税対策|経営者必見!3つのポイントを押さえすっきりわかる解説

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法人の節税対策を調べると本当に沢山の情報があふれています。

節税対策の情報を網羅できれば、経営コンサルティントにもなれそうですし、顧問税理士には記帳と決算だけお願いすればよさそうな気がします。

けれども実際には節税対策の情報量が多すぎて要旨つかめない、頭の中で整理できない、などの理由で手付かずなのではないでしょうか。

今回は、法人の節税対策について、御社に必要な対策をすっきりと理解できるように説明しています。

 はじめに

節税する目的は何ですか?

これをすぐに答えられる経営者の方は、恐らくすでに節税対策に成功していらっしゃることでしょう。

「キャッシュを残す」この一言につきます。

どんないい節税商品や節税対策があっても、会社にキャッシュがなければこの先不安定な社会で生き残れないでしょう。

このことを念頭に読み進めていってください。

節税するうえでの心構え

月次決算の重要性

どんな節税対策をするにしても、これだけはやらなければならないことがあります。
それは、ズバリ!

月次決算

まず断言させてください。これをやらずして、節税対策はあり得ません。

月次決算とは何かはこちらより
月次決算とは|知らないと怖いその重要性を徹底解説!

月単位で、会社の利益がどのくらいか、粗利益がどのくらいか、固定費はどのくらいか、
も知らない状態で絶対に節税対策はできません!

専門家に頼りすぎていないか

そしてもう一つ、現在顧問税理士がいれば、節税対策は万全と思ってらっしゃいませんか。

私自身何社か勤めてきましたが、残念ながら万全とは言えないでしょう。

それはなぜか、貴社の担当者や顧問税理士は沢山の会社を見ないといけない状況で、税金の間違いだけは避けなくてはならないのが実情です。

沢山の会社を担当すると、流れ作業となる事務所や税理士の方も多くいるのが現実なのです。

そんな環境の中、一社一社の節税対策までやってくれる会計事務所や職員はなかなかいません。

何も節税情報を知らされていない経営者や社長が、払わなくてもよかった税金を払っていたなんてことはざらにあります。

「知らぬが仏」でしょうか。そんなことはないですよね。

もし顧問税理士がいたとしても、上記で書いたことも踏まえて、まずは経営者や社長自身がどんな節税対策があるのか、ご自身の会社を存続し守るためにも知っていただきたいのです。

 節税する上の3つのポイント

  1. キャッシュを使って節税するのか
    月次決算を通して、利益も現金も共に余裕がある
  2. キャッシュを使わず節税するのか
    月次決算を通して、利益はあるが、預金が少ない
  3. 節税対策を行うまでに至っていない
    月次決算を通して、利益も少ない又は赤字である

この順番に考えてみてください。

最初のフィルターであるキャッシュは会社にとっては一番大事な部分です。

何かアクションを起こす際に必ずキャッシュが必要となるからです。

このことだけは忘れず、下記よりご自身の会社の財務状態をもとに、より良い節税対策を見つけていきましょう。

1.キャッシュを使って節税する

先に金額的にも大きな対策となる、「キャッシュを使って節税対策をする」から目を通してください。

次に「キャッシュを使わず節税する|日々の経費での節税方法」を読んでがっちり節税対策を行ってください。

2.キャッシュを使わず節税する

「キャッシュを使わず節税する|日々の経費での節税方法」を読んで下さい。

キャッシュを必要とする節税は事業が軌道に乗るまで保留しておいてください。
まずは日々の経費で計上漏れはないかしっかりチェックし、利益をもっと出せる体質にしていきましょう。

3.節税対策を行うまでに至っていない

「キャッシュを使わず節税する|日々の経費での節税方法」を読んで下さい。

キャッシュを必要とする節税は事業が軌道に乗るまで保留しておいてください。
まずは日々の経費で計上漏れはないかをしっかりとチェックします。

次に売上(粗利益)を上げることに重点を置き、過剰な固定費があれば削減をしていきましょう。
販売戦略しっかりと立て、利益を生み出せる体質作りに今は時間を割いてください。

販売戦略はどのようにたてるのかはこちら
販売戦略とは|赤字体質脱却のため3つの実践方法とは

キャッシュを使って節税する

これを選択された経営者、社長は沢山の節税方法が存在しています。
箇条書きしていきますので、ご自身が興味をもったところをピックアップしてください。

節税後の現預金残の目安はどのくらい?

キャッシュを使って節税を行う場合、現金残高の目安は下記の通りです。

月商の1か月分

業種によって違いはありますが、目安としては上記の現預金残高は確保しておいて下さい。

キャッシュを使って節税できる会社は、利益が出ている会社です。
毎月の売上の回収分から、仕入代金や諸経費、借入金の返済を出来ている会社が前提となります。

キャッシュを使って節税ができるほとんどの会社は、恐らく月商以上の支払いは行っていないでしょう。

こんなことを言うと、「月商一か月分残しとけば安心」なんて言う方も出てきそうですね。

しかし!何度も言いますが、一番大事なのは「キャッシュ」を残すことです。

節税対策にほとんど使っちゃおうなんて判断はくれぐれもしないでくださいね。

キャッシュがあれば、会社の大抵の危機は乗り越えられるのです。

1.法人保険(法人向けの生命保険・医療保険)

概要:メリットデメリットはありますが、種類が沢山ありすぎますので、ここでは法人保険について専門的に書いていらっしゃる「法人保険の教科書」さんより紹介します。

詳しくはこちら
法人保険|節税以上にキャッシュを増やせる7つの魅力的な活用法

2.家賃を月払いから年払いに変更する

概要:決算間際の駆け込み対策です。一度のみの対策となります。
相手方と合意の上で、年払いとすると、翌年一年分が経費となります。
継続適用が原則ですので、翌年からも年払いとなる点に注意です。

詳しくはこちら
短期前払費用で節税対策|6つの要件とメリットデメリット

3.中古の減価償却資産を購入する

概要:中古だと耐用年数が短いため、早くに経費化できます。
手っ取り早いのは車です。
車種は賛否両論あるかもしれませんが、ベンツなどの高級車でもOKです。
あくまで社用車なので、仕事のみで使うこと。
けれども、税務調査の際目立ちますので、注意してください。

詳しくはこちら
車買うなら中古車か|節税対策として購入する場合のポイントを解説

4.社員旅行を経費とする

概要:参加人数、金額、滞在日数に注意すれば経費となります。

詳しくはこちら
社員旅行は節税か|知らないと損するその範囲と内容について

5.社員に決算賞与を支給

概要:月次決算をしていれば、決算期前にどのくらい利益が出そうか予測できます。
それを社員に決算賞与として支給するすることで経費となります。
費用にできる条件に、支給額を社員全員に通知することや支給時期、一定の会計処理が条件となります。

詳しくはこちら
役員賞与で節税|知らないと税金がかかる3つの支給要件

6.役員や従業員の社宅

概要:社宅で節税になるのは、「一定額の家賃」が実際に支払う家賃と比べて低い場合です。
例えば、会社が10万で借りて、役員に5万で貸す場合、安く借りられる上、役員個人には何も課税されないという制度です。
賃料分の差額分利益が減るので、節税となります。
従業員にも適用がある制度です。
よくある質問で、「住宅手当」との違いがありますが、
住宅手当で支給すると、給与として課税されてしまい、給与に対して支払う税金が多くなりますのでご注意ください。
なので給与額面を減らしても、こちらの社宅として会社負担をした方が、役員や社員の手取り額が多くなるケースが多いです。

社宅について詳しくはこちらより
法人の社宅節税方法|役員社宅【賃貸編】
法人の社宅節税方法|役員社宅【会社所有編】

7.広告宣伝費、備品の購入、30万円未満の減価償却資産を購入

概要:決算間際の節税対策です。
備品のまとめ買いや30万円未満の減価償却資産なら300万円に達するまではその期の経費として計上することができます。

少額減価償却資産(30万未満の減価償却資産)についての詳しい説明はこちらより
少額減価償却資産とは|仕訳つきで分かりやすく解説

8.役員報酬

概要:翌期からの対策となります。
月次決算でどれくらいの黒字が見込まれそうかわかっている場合には、役員報酬の毎月支給額を設定することにより大幅な節税となります。

詳しくはこちら
役員報酬の決め方|経営者なら知っておくべき基礎知識

9.役員賞与

概要:翌期からの対策となります。
届出書が必要。届出書に期日があるのと金額と支給にも条件がありますので、月次決算でどのくらいまで賞与として出せば節税となるのか考えておきましょう。

詳しくはこちら
役員賞与で節税|知らないと税金がかかる3つの支給要件

10.別会社を設立

概要:所得を分散化させることにより、支払う税金が少なくなります。

詳しくはこちら
別会社を設立して節税|7つのメリットと3つのデメリットを分かりやすく解説

この章のまとめ

リストの中で高級車の購入など、あるサイトでは無益な節税対策と記載されている項目もありますが、私の考えでは社長という立場である以上、対外的な面が重要な場合もあると考えています。

会社を経営し、納税もしっかりとしているならば、仕事で使っているという説明ができる以上、経費と考えていいと思います。

しかし税務職員も人間ですので、論理的に説明したとしても必ず経費となるわけではありません。

あの会社は経費となったのに、などあるかもしれませんが、様々な項目についてケースバイケースということを覚えておいてください。

節税をおこなう時期について|キャッシュを必要とする節税を行う場合

設備投資(減価償却資産を購入)をすると決定した場合、事業年度初めの購入を検討してください。

年度末に購入しても償却としての経費が月数案分されていまいますので、最大限の節税効果となりません。

買うなら事業年度初めと覚えておいてください。

キャッシュを使わず節税する|日々の経費での節税方法

ここでは、日頃からの業務内で発生する経費の節税対策をあげていきます。

1.旅費や日当

概要:日当旅費規程を社内で規定、作成することにより、日当の支払いや、特急列車のグリーン車などの乗車券も経費化できます。

詳しくはこちら
出張旅費規程で節税|その効果と作成ポイントを解説

2.回収できない売掛金など不良債権を経費化

概要:1年以上取引がないなど、一定の理由があれば経費として計上できます。

詳しくはこちら
不良債権ついて|節税対策3つのポイントを押さえ費用とする方法

3.在庫商品の評価

概要:売れないもの、型落ちのものなどについて、除却損や評価損が計上できます。

詳しくはこちら
棚卸資産で節税|在庫にも税金がかかっています!

4.社宅

概要:住宅手当などの支給をやめ、その代わりに社宅として法人契約をする。
給与の額が減ると心配でしょうが、結果的にみると、家賃代の出費も減り、給与に対する税金も減るので、
現金としての手取りは増えるケースがほとんどです。

社宅について詳しくはこちらより
法人の社宅節税方法|役員社宅【賃貸編】
法人の社宅節税方法|役員社宅【会社所有編】

5.健康診断費用や予防接種費用

概要:下記3つの要件を満たすと経費として計上できます。健康診断費用のみならず予防接種の費用も経費となります。

① 健康診断の対象者が全社員である。年齢による限定も可
② 診断内容が健康管理を目的としたものであり、常識的な範囲内のものであること
③ 健康診断の費用が会社から診療機関(医療機関)に直接支払われていること


一人会社の場合、社長と妻の二人だけなどの会社も多くあると思いますが、その健康診断の費用については、一般的に福利厚生費として認められないことも多いようです。

しかし、将来社員を雇い入れる準備もしており、就業規則(健康診断の規定)を作成しておくことで経費として認めらる可能性が高くなります。

7.減価償却費を計上しない|青色繰越欠損金がある場合

減価償却費について法人は任意償却であることを知っていましたか?

青色欠損金の繰越期間は9年です。

当期に利益が出た場合、9年前に繰越欠損金があれば使った方がいいでしょう。

なぜなら9年前の繰越欠損金が使い切れず残ると、切り捨てとなるからです。

詳しくはこちら
減価償却をしないで節税とは?|法人の節税対策を詳しく解説

8.給与、社会保険料、固定資産税を未払い計上する

これも一度きりの節税効果となります。その後は継続的に適用となります。

例えば、12月決算法人の場合、12月末(厳密にいうと翌年の1月4日)に引き落とされる社会保険料は、前月分の11月の保険料となります。

12月分の社会保険料は1月末に引き落とされます。通常ですと翌年の費用となりますが、これを未払い計上することにより法定福利費という費用が多く計上されることになるため、利益を圧縮できます。

計上する金額は法人が負担する部分となります。

詳しくはこちら
すぐ出来る!従業員の給料で節税|給与の締め日が月中にある場合
社会保険料の未払計上で節税|法人の節税効果について詳しく解説
【決算対策】固定資産税の未払計上|節税する方法とは

9.この章のまとめ

いかがでしたでしょうか。

まとまったキャッシュがないから節税対策できないなんてことはないのです。

日々の業務で出費しているところからも節税対策はできます。

これはほんの一例ですので、知らずに経費にしていない出費があるかもしれません。

普段から、こんな出費はどうか?と顧問税理士の先生に投げかけてみてくださいね。

意欲的な担当者や税理士だと、

「税務署から認めれるかは分からないけど、それでも経費としたいなら、もし聞かれたらこうやって答えてみましょう」

など、節税を逸脱しない範囲で対応策をあげてくれるかもしれません。

節税する目的は何か|原点に戻って考える

節税する目的は何か、ここまで読んでいただいた経営者や社長の皆様なら答えられるはずです。

キャッシュを残すこと」です。

節税対策をすることで、払わなくていい税金を払わず、会社を守るためのキャッシュを残してください。

これだけはどうか忘れないでください。

そして、税理士に任せきりにせず、自分の会社を存続し、守るためには社長や経営者自身がある程度の節税知識は身につけていただかないといけないということです。

最後に

ここまで読んでいただけたら、一番大事なのは何かもうお分かりですね。

そう「キャッシュ」です。

そして、ここに書かせていただいた節税対策は、すっきりと理解していただきたかったのもあり、細かいことは省き、すぐに実践できそうな例を多くあげました。

ダイエットの成功例が十人十色のように、節税対策を成功させるのも、どれを組み合わせたら一番会社にとって最善なのか、それは会社の規模や財政状態、そして経営戦略によって変わります。

ここには載せきれない節税方法もまだ沢山あります。

是非顧問税理士の先生がいらっしゃるなら、今まで読んだ節税記事のことについて沢山質問を投げかけてください。

そうすれば、この経営者は本気で節税や税金対策のことも勉強し、事業を成功させていきたいんだ、と社長の熱意を感じ取るはずですし、その熱意を感じ取ると、ほとんどの先生は次からこんな節税対策もあるよ、と先に提案してくれることでしょう。

少しでも御社の節税対策の参考となれば幸いです。

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この記事を書いた人:税理士 大森順子

大森会計事務所 代表の大森です。 税金のこととなると途端に難しい言葉や税率が飛び交う世界。 ブログで税金の事を分かりやすく丁寧に説明しています。 「税理士をもっとより身近に!」感じてくださいね。

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