社長や役員が、会社近くのマンションなどを借りている場合がありますよね。
当時会社勤めだった私は、家と会社が近くていいなぁ、とくらいにしか思っていませんでした。
それが社宅だったかどうかは知る由もないですが、社宅となると会社にも、そして社長や役員にまでメリットがあります。
知らないともったいない節税対策となりますので、導入できる方はぜひ検討してみてくださいね。
今回は、社長や役員の方の社宅について、会社が賃貸契約する節税方法を記載していきます。
会社所有による社宅の節税方法については法人の社宅節税方法|役員社宅【会社所有編】を参照ください。
目次
社宅の種類
社宅と一言でいっても、役員社宅か従業員社宅か、購入物件か、賃貸物件かで、下記の4つの条件が考えられます。
②社長や役員の社宅|法人が賃貸マンションや戸建などの建物を賃料を払って借りる場合
③従業員の社宅|法人が分譲マンションや戸建てなどを購入する場
④従業員の社宅|法人が賃貸マンションや戸建ての建物を賃料を払って借りる場合
もちろんですが、それぞれにメリットデメリットがありますので、
今回は冒頭でも書いていますが、
「②社長や役員の社宅|法人が賃貸マンションや戸建などの建物を賃料を払って借りる場合」
を説明していきます。
社宅がなぜ節税になるのか
「社宅を使って節税」なんていうキーワード沢山ありますね。その仕組みを書きます。
会社が賃貸物件に対して賃貸借契約をすると、会社が支払う家賃が経費となります。
一方、その賃貸物件を社宅として役員に貸すと、受取る家賃は収益となります。
その差額が経費として計上できるので、節税対策と言われています。
会社が賃貸物件を社宅とする2つのメリット
①社宅を借りる役員の給与(手取り額)が増える
②会社の経費の負担分が減る
でも言葉だけだとあまりイメージが掴めないな
後程、具体的な数値を出して説明しますね。
会社に支払う賃料はどのくらい
これ気になりますよね。
おおまかに家賃の半分、50%以上を会社に支払っていれば社宅として認めてもらえるでしょう。
社宅の賃料は、国税庁によって算出方法が決められています。
算式に従って計算すれば、家賃の50%より低くなり、その金額以上は払っていれば問題ないのですが、何しろ面倒くさい計算ですよね。
簡便的にやるなら50%と覚えてもらって問題ないです。
注意点としては、その算式により算出された金額以上支払っていなければ、社宅としての節税ができなくなりますので、
くれぐれも、無償で貸し付けたり、家賃設定を低くしすぎたりしないでくださいね。
社宅賃料の算出方法はこちら役員に社宅などを貸したとき(国税上HP)
具体例
①賃貸物件を役員社宅にしないケース
会社側の経費:役員報酬50万円+社会保険料7万円=57万円
役員側の手取り額:役員報酬50万円-社会保険料7万円-所得税・住民税4万円=39万円
39万円-家賃20万円=19万円
②賃貸物件を役員社宅にするケース
今度は、家賃20万円の賃貸物件を、役員に10万円で貸します。
この設定の根拠は、会社が支払う賃料20万-役員から受取る賃料10万=10万を役員報酬から減額し、
40万円を役員報酬として設定しています。
会社側の経費:役員報酬40万円+社会保険料6万円+賃借料支払い20万-家賃受取10万=56万円
役員側の手取り額:役員報酬40万円-社会保険料6万円-所得税・住民税3万円=31万円
31万円-家賃負担分10万円=21万円
③この章のまとめ
賃貸物件を役員の社宅にした場合としなかった場合、計算結果が変わりましたね。
賃貸物件を役員社宅とした場合 | 賃貸物件を役員社宅としなかった場合 | 差額 | |
役員報酬の手取額 | 21万 | 19万 | 2万 |
会社の税金などの負担額 | 57万 | 56万 | 1万 |
賃貸物件を役員社宅にする際の注意点
世間一般的にみて、豪華すぎる物件は、社宅を使った節税ができなくなります。
・豪華な社宅とは
床面積が240㎡超のもの、広くなくても社長の嗜好がもろにでている豪華内装や、プール付きである場合
賃料に正確性を求めたい方
計算方法は
「04会社に支払う賃料はどのくらい」で書いた
①国税庁のホームページでの計算方法
②会社が大家さんなどに実際支払っている家賃額の50%
のいずれか多い方の金額が適正な家賃額となっています。
賃貸物件の固定資産税の課税標準額の調べ方
賃貸借契約書があれば、借りている人も閲覧できますので、その物件のある市区町村に問い合わせてみてください。
因みに、市区町村とは都税事務所になります。
例)八王子市にある物件→八王子都税事務所 渋谷区にある物件→渋谷都税事務所
役員が直接賃貸契約を結んでいる場合
これを読んだら、現在住んでいる居宅も社宅にしよう!と思われたことでしょう。
しかし、個人契約から法人契約に変更するのは難しい場合が多いようです。
まずはその大家さんや不動産やさんに、法人契約に変更が可能か尋ねてみてくださいね。
仮にOKが出ても敷金精算やらすべてが最初から契約を結びなおすようなこともあるようです。
新しく物件を借りる場合には、法人契約が可能な物件を探してください。
最後に
法人の社宅利用での節税対策はポピュラーかつ魅力的です。
現在顧問税理士の方がいらっしゃるなら、ぜひ相談してみてください。
国税庁のHPに載っている面倒臭そうな賃料計算もおおまかにやってくれると思いますよ。