会社を作る前に必見!|出資した仲間が退職した時に慌てないために

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会社を作るときに志が同じ仲間がいるのは、本当に心強いですよね。

経営していくと、様々な分岐点がでてきて別の道を歩む場合もかなりあります。

設立するときはそんなことは考えたくないと思いますが、設立する前にぜひ一読しておいてください。

はじめに

同じ未来を見つめて、一緒に運営や経営をしていたけれど、ある問題をきっかけにお互い微妙な距離感になり、別々の道を歩むケースも少なくありません。

その時に、辞める仲間から強制的に株式を買い取ることはできるのでしょうか。

答えはNOです。

(厳密にはNOではなく、会社法では一定の手続きを経て強制的に株式を買い取る方法がありますが、それは一定条件があり難しいのでここでは触れません。)

どのような対策ができるかを次からみていきましょう。

辞める仲間の株式を回収する対策

対策としては、創業時に下記のものを作成しておくことが対策となります。

・創業時の仲間の間で契約をしておく(創業者間契約)

・種類株式の活用

創業者間契約とは

創業者が数名いる場合に、そのうちの一人、もしくは数名が会社を辞める場合があります。

その時に残された創業者などが辞める人の株式を買い取ることを創業時にあらかじめ合意しておく契約書のことを言います。

もし、創業者の間で契約を合意していない場合は、下記のような問題が起きる可能性が出てきます。

・辞める仲間と連絡が取れなくなり、総株主の同意を条件とする諸々の手続きを行えない

・辞める仲間から自社の株式を買い取るにあたり、その価格の合意が取れない


一般的に、会社を設立するときの株価はゼロもしくは一口あたりの出資額に近いです。

その後経営が軌道に乗ってくると株価(目安:純資産÷株式数)が大きくなります。

このような場合、出資額以上にもらえる可能性があるので、辞める側もごねるかもしれません。

そのような場合に備えて、創業者の間で契約を結んでおくことをお勧めします。

種類株式とは

会社を作るときに、この種類株式を定款に盛り込みましょう。

種類株式といっても、色々な種類があります。

その中でも定款に盛り込むのは、「取得条項付株式」です。

定款は、会社を設立する時に必ず作成することになっています。

定款とは、簡単にいうと会社の法律上の重要な規則が記載されたものです。

会社設立を司法書士事務所に依頼される場合は、その時に聞いてみてください。

取得条項付株式とは、一定の事由が発生した場合に、会社が強制的に株式を取得することができる株式のことです。

一定の事由=会社を辞める時としておくといいでしょう。

※ワンポイントアドバイス
一定の事由に、死亡の時も含めておいたほうが、意図しない相続人が株主になることを防ぐことができます。

相談事例

ある実在する製造業のお客様の話です。

前の製造業の会社が一斉にリストラするにあたり、同志を募り6人の有志で設立した株式会社がありました。

社長、設計2人、営業は2人、経理1人と、理想的な配置図でスタートを切りました。

二期目も残り半分を切ったある日、設計の一人から退職の申し出が。

経理の方から株式のことについて相談がありました。

この会社は辞める従業員の人から株を買い取りたいのですが、

創業者間契約があるわけでもなく、定款にも上記のような条項は盛り込まれていませんでした。

結局、辞める社員との間で当初の出資額で売買することで合意がとれたので、

そのことを株主総会の決議で承認し、社長が買い取る形にし、大事にならずにすみました。

急成長の会社で株価が上がっていて、いざ辞めるとなったとき少しでももらいたいと思っているとこのようにはいかなかったかもしれません。

おわりに

お互いを信頼して共同で設立するのですから、あまり仲違いしてしまったことは考えたくないですよね。

しかし、設立する前にしっかりと話し合って、作成することをお勧めします。

簡単に株式会社は設立できてしまう反面、ちょっと知っているだけで、後々のリスクを回避できます。

少しでもこの記事が役に立ってもらえれば光栄です。

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この記事を書いた人:税理士 大森順子

大森会計事務所 代表の大森です。 税金のこととなると途端に難しい言葉や税率が飛び交う世界。 ブログで税金の事を分かりやすく丁寧に説明しています。 「税理士をもっとより身近に!」感じてくださいね。

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