ビットコインなどの仮想通貨の投資ブームにより、巨額の利益を得ている方も多くいるのではないでしょうか。
巨額の利益を出している方を「億り人」と言うようですが、一般人にも身近になってきている話だと思います。
利益が出れば出るほど、否が応でも「税金」という二文字が頭によぎり、不安になる方も多いと思います。
その仮想通貨についてようやく平成29年12月に国税庁より具体的な計算方法が公表されました。
現在、仮想通貨の税金計算について色々な情報が飛び交っています。
今回の記事は平成29年12月現在の情報をもとに、税金の計算方法や確定申告について記載していきたいと思います。
目次
仮想通貨の変遷
2017年5月に仮想通貨の資金決済法が施工され、仮想通貨は実際の支払い手段として公に認められました。
2020年の東京オリンピックまでには仮想通貨を普及させ、海外観光客が買い物しやすい環境を整備しようとの狙いがあるようです。
税金の面では、以前は仮想通貨全般は商品売買とみなされ8%の消費税がかけられていました。
しかし、2017年7月1日以降は消費税は非課税となり、仮想通貨によって得られた利益については「雑所得」として処理されることとなりました。
仮想通貨を申告するにあたって
ぶっちゃけ現時点(平成30年1月時点)で仮想通貨に詳しい税理士はかなり少ないと思います。
「納税者も、税理士も手探り状態」
これが実態ではないでしょうか。
今年の申告については、国税庁が「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」を公表した初めての年となります。
仮想通貨に関する所得の計算方法等について(国税庁HP)
ご自身で申告するにしても、税理士が申告するにしても、
国税庁が公表した計算方法をもとに計算を行うはずです。
利益が出ているのなら、申告は行うべきですので、早めにどのように申告をするのかだけでも見極める必要があります。
- 税理士に報酬を払ってお願いするのか
- 自分で国税庁の公表した計算方法をもとに申告するのか
もし税理士にお願いするにしても、仮想通貨を得意とする税理士の方も仕事の依頼がたくさんきているはずです。
「仮想通貨難民」とならないためにも早めに手を打っておいてください。
ともあれ、色んな論点、疑問点がある仮想通貨、
今年度の申告によって、様々な事例(F&Q)が出てくると予想されます。
申告の義務について
サラリーマン、主婦、年金受給者などの方で給与や年金以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
仮想通貨の利益についても同様です。
しかし、住宅を購入した初年度や医療費控除、ふるさと納税(特例を使わない場合)などで申告の必要がある場合には、たとえ所得が20万以下でも申告の必要が出てきます。
仮想通貨|利益確定タイミングと利益金額について
1.利益の確定はいつか
次のアクションを起こした都度損益計算をし、一年間のトータルで売却益があれば、その売却益部分に税金がかかります。
②仮想通貨での商品の購入
③仮想通貨と仮想通貨の交換
2.利益の算出方法
上記のアクションを起こした時、それぞれの方法で利益金額を計算します。
下記、円以外のものやその他の通貨で売却・購入・交換した場合、日本円に換算したレートで利益金額を計算します。
①仮想通貨の売却時
利益金額:売却価格-支払った仮想通貨の1単位あたりの取得価額×支払い仮想通貨
②仮想通貨での商品の購入時
利益金額:商品価格-支払った仮想通貨の1単位あたりの取得価額×支払い仮想通貨
③仮想通貨と仮想通貨の交換時
利益金額:他の仮想通貨の時価(購入した価格)-支払った仮想通貨の1単位あたりの取得価額×支払い仮想通貨
3.仮想通貨の分裂時の取得価格について
仮想通貨の分裂により、新たな仮想通貨を取得した場合は、その仮想通貨の取得価額は「0」円となります。
その仮想通貨が高騰した場合に、上記アクションを起こすと多額の利益が出ることになりますので、使うタイミングに注意してください。
仮想通貨の確定申告について|税金計算
1.留意点
ずばり「納税資金の確保」この一言に尽きます。
税金の支払い額に関してしっかりストックしておくことです。
税金の事を念頭におきながら、次の投資を行ってください。
2.所得区分について
仮想通貨による利益は「雑所得」として区分されました。
株などの申告と違い、仮想通貨で損失が出たとしても繰越が出来ません。
仮想通貨同士の損益通算はできますが、マイナスとなった場合は所得は0円としか申告できません。
3.ほかの所得との損益通算|雑所得として申告する場合
仮想通貨を事業用資産として使用されない方は、所得の区分が「雑所得」となります。
仮想通貨を雑所得で計算する場合に、仮想通貨の損益通算でマイナスとなったときは他の所得とは損益通算はできず、所得は0円となります。
雑所得(仮想通貨同士の損益)0円(-200万)
所得金額:500万-0円=500万円
下記の例はあまりないケースかもしれませんが、このケースでは損益通算ができます。
雑所得(仮想通貨の損益)+200万円
所得金額:-500万+200万=300万円
4.税率表
現段階では、儲ければ儲けるほど高い税率で税金が計算されます。
最高税率は所得税で45%、住民税の10%と合わせると55%となります。
他にも給与所得や不動産所得があれば合算されます。
早くに株式のように申告分離課税となればいいと思いますが、こればかりは今は仕方ありません。
課税される所得金額 | 所得税の税率 | 控除額 | 住民税の税率 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 | 10% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 | |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 | |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 | |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 | |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
具体例
所得税:5,000万円×45%-4,796,000円=1,770.4万円
住民税:5,000万円×10%=500万円
税金合計:1770.4+500=2270.4万円
5.節税対策として
また少し手間と費用はかかりますが、法人設立などの方法もあります。
事業用資産としてビットコインを取得保有し、実際に決済で使用している場合には、
「事業所得」として認められます。
上記で説明した「雑所得」とは違い「事業所得」の区分となると、青色承認申請書を提出すれば次の利点があります。
・ほかの所得(給与所得や不動産所得)と損益通算ができる
・損失が出た場合には3年間の繰越しができる
などがあげられます。
詳しくは個人事業主のための節税マニュアルの中の03青色申告による節税をお読み下さい。
法人の場合
所得税率より法人税率の方が低いということがメリットとなります。
詳しくは別会社を設立して節税|7つのメリットと3つのデメリットを分かりやすく解説お読み下さい。
その他、タックスヘイブン国や海外移住や色んなことを考える納税者の方もいらっしゃると思います。
私が相談をうかがった方も一般の方でしたが、ここまで考えていらっしゃいました。
それなりの報酬(例えば節税金額の〇%など)を支払えば相談にのってくれる税理士やコンサルタントの方も沢山いますので、早めに検討しておくのもいいかもしれませんね。
消費税の納税義務について
仮想通貨の取引について2017年7月1日以降は消費税が非課税となりました。
しかし、消費税の納税義務者(事業を行っている個人や法人)である場合には、注意をしてください。
2017年6月30日までに譲渡金額が税抜きで1,000万円を超えていると消費税の納税義務者となります。
消費税の「納税義務者」に該当するか否か、これも論点ではあります。
しかし消費税の申告納税は二年後の話なので、詳細は割愛しますね。
ひとまず、今年度の申告を先に考えましょう。
仮想通貨の確定申告向けサービス
仮想通貨の確定申告を手助けするツールとして「Coin Tool(コインツール)」というサービスも近日リリースされそうです。
これに関しては、
・去年の取引履歴をうまくアップ出来れば確定申告までできるのか、
・そもそも取引履歴を見るのが手間で時間かかるので、取引履歴を見れるならエクセルでまとめられそう、
・今年からなら、使えそう!(売買の都度記録を残すと決める)
など蓋を開けてみないとわかりませんが、手間は省けると思います。
参考にしてみてください。
さいごに
何度も口すーっぱく言いますが、納税資金を確保しながら投資をしてくださいね。
持ち続けていれば、納税の話も出てきませんが、東京五輪までの一種のバブルのような感じもします。
余計な税金を払えとはいいませんが、極力タイミングを見計らって、税金は正しく納め、
キャッシュやその他のものに投資されておくのが堅実かもしれません。
年が明けるとあっという間に確定申告時期に差し掛かります。
時間に余裕さえあれば、自分で計算できるかもしれません。
また、分からないところが明確となり様々な情報収集もできます。
しかし時間に余裕がないと、自分でできないと気付くのも遅くなり、あたふたしてしまうと思います。
税理士に頼もうとしても、妥当な金額で仕事を引き受けてもらえない状況が考えられます。
申告期限に間に合わなくなるなど、リスクも伴います。
やきもきしないためにも、もう一度ご自身の仮想通貨の申告について考えておいてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。